「健康診断で『尿酸値が高い』といわれたけど…まだ何ともないし大丈夫だろう」、そんなふうに思っていませんか。
尿酸値が高いと、痛風をはじめとする合併症の発症や悪化につながる可能性があることがわかっているため、放置は禁物です。
尿酸値の改善に取り組むにあたって、まずは高尿酸血症についての理解を深めましょう。
高尿酸血症とは
高尿酸血症の原因となるのは「尿酸」という物質です。尿酸は「プリン体」という物質がもとになって作られます。プリン体は食べ物や飲み物からとり入れられるほか、私たちの体内にも存在しており、肝臓で分解されることで尿酸ができます。尿酸は腎臓と腸で処理され、尿や便に含まれて体外へ排泄されます。
正常な状態では、尿酸の「作られる量」と「排泄される量」のバランスがとれており、体内の尿酸量は一定に保たれています。ところが何らかの原因で、尿酸が作られすぎたり、うまく排泄できなかったりすると、体内の尿酸量が増えてしまい、尿酸値が高くなります。この状態が「高尿酸血症」です。
一般に、尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を「高尿酸血症」と呼びます。
尿酸は善玉? 悪玉?
尿酸は悪者というイメージを持たれがちですが、実は「抗酸化作用」という、からだを守る作用があります。
つまり尿酸は多すぎたり少なすぎたりしなければ、からだにとって有益な働きをする、大事なものなのです。
高尿酸血症の患者数
高尿酸血症の患者さんは、食生活の欧米化などを背景に、増加していると考えられます。男性に多く、2004年時点で30代男性の約30%にみられると報告されています。
痛風の患者さんはどれくらいいるの?
からだの中で多くなった尿酸がとけきれずに生じた結晶が、関節などにたまると痛風になります。
痛風についてはこちら
痛風の患者さんも年々増加しています。2022年時点では推定130万人と報告されています。
高尿酸血症の分類
高尿酸血症は、尿酸が増えすぎる原因によって、次のように分類されます。
分類 | 原因 |
---|---|
尿酸排泄低下型 | 尿酸が腎臓から排泄しにくい |
腎負荷型 | 尿酸が作られすぎる または 腸から排泄しにくい |
混合型 | これらの特徴をあわせ持つ |
「再吸収」って何?
尿酸は腎臓の尿細管という管を通るとき、約9割が再び血液中に吸収され、最終的に排泄されるのは約1割にすぎません。これは本来必要な尿酸が過度に失われすぎるのを防ぐための仕組みであり、尿酸の「再吸収」といいます。
しかし、再吸収が異常に強くなると(再吸収の亢進)、排泄される尿酸が少なくなってしまい、結果として「腎臓から排泄しにくいタイプ(尿酸排泄低下型)」の高尿酸血症となります。メタボリックシンドロームや高血圧などの生活習慣病を合併している場合、尿酸の再吸収が亢進することが知られています。
高尿酸血症の原因
尿酸の作られる量と排泄される量のバランスが崩れる原因ははっきりとはわかっていませんが、食べすぎ、飲みすぎ、ストレス、肥満などが関係していると考えられています。
体質(遺伝)が原因でバランスが崩れやすい人もいます。