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放置しているとどうなるの?

放置しているとどうなるの?〜高尿酸血症の合併症〜

高尿酸血症を治療しないで放置していると、痛風尿路結石腎障害などを引き起こすことがあります。
そのほかにも、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を合併しやすいことが知られています。これらの生活習慣病は動脈硬化を招いて心血管疾患につながる可能性があり、高尿酸血症も関連するといわれています。

高尿酸血症のさまざまな合併症

日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018
日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012 東京医学社 2012
日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版

このように、高尿酸血症はさまざまな病気につながる可能性があるので、放置は禁物です。
ここでは、高尿酸血症と関連する病気について説明します。

痛風

痛風は、からだの中で多くなった尿酸がとけきれずに結晶となり、関節などにたまって起こる病気です。
ある日突然、関節が大きく腫れ上がり激しい痛みを伴う痛風発作が起こります。もっとも起こりやすい場所は、足の親指のつけ根です。

また、痛風結節と呼ばれるこぶのようなものが、手の指や耳、足の親指などにできることもあります。

写真ご提供:独立行政法人国立病院機構米子医療センター 病院長 久留 一郎先生

痛風発作の経験がある方へ

  • 医師の指示に従って、生活習慣の改善や尿酸値を下げるお薬による治療に取り組みましょう。
  • 痛みがなくなるとつい油断しがちですが、自己判断で治療をやめないでください。治療をやめると、発作が再発したり他の病気につながったりする可能性があります。

尿路結石

尿路結石とは、尿の通り道(腎臓、尿管、膀胱、尿道など)に硬い結石ができる病気です。
高尿酸血症になると、尿が酸性に傾いたり、尿中の尿酸の濃度が高まったりすることで、結石ができやすくなります。
結石が尿管に入ると、差し込むような激しい痛みが起こります。

尿路結石を合併している方へ

  • 水分を十分とって、尿の量を増やしましょう。
  • 医師の指示に従って、生活習慣の改善や尿酸値を下げるお薬による治療に取り組みましょう。

腎障害

尿酸値が高い状態が続くと、腎臓が傷ついて腎障害になる場合があります。
また、腎障害になると尿酸を排泄しにくくなり尿酸値が高まる、という悪循環が生じることが知られています。

腎障害が悪化すると慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease;CKD)となる場合があります。CKDがさらに進むと、人工透析や腎移植が必要な状態になることがあります。

腎障害を合併している方へ

  • 腎障害も高尿酸血症も、生活習慣が深く関わっている病気です。両方の病気のためにも、生活習慣の見直しに取り組みましょう。
  • 腎障害だけでなく、高尿酸血症についても医師に相談しましょう。

メタボリックシンドローム

高尿酸血症とメタボリックシンドロームは合併しやすいことが知られています。

その背景の一つとして、メタボリックシンドロームでは尿酸の再吸収が過度に強くなり(再吸収の亢進)、尿酸の排泄される量が少なくなって尿酸値が上がることが報告されています。

Kakutani-Hatayama M, et al. Am J Lifestyle Med 2017;11:321-9

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪が蓄積し、脂質異常症・高血圧・糖尿病などが複数合併しており、動脈硬化を招いて心血管疾患につながる可能性が高い状態です。
高尿酸血症も心血管疾患に関連するといわれているため注意が必要です。

メタボリックシンドロームを合併している方へ

  • 尿酸値を下げるのはもちろんのこと、肥満、血圧、血糖値、脂質の改善にも取り組み、心血管疾患を防ぐことが重要です。
  • メタボリックシンドロームの改善により、尿酸値の低下が期待できます。

高血圧

高尿酸血症と高血圧は合併しやすいことが知られています。
高血圧を合併している高尿酸血症の患者さんの9割以上は、尿酸を腎臓から排泄しにくいタイプ(尿酸排泄低下型)との報告があります。

大田祐子ほか 痛風と核酸代謝 2011;35:169-74

高血圧は心血管疾患につながることが知られていますが、高尿酸血症も心血管疾患と関連するといわれています。

高血圧を合併している方へ

  • 高血圧も高尿酸血症も、生活習慣が深く関わっている病気です。両方の病気のためにも、生活習慣の見直しに取り組みましょう。
  • 高血圧だけでなく、高尿酸血症についても医師に相談しましょう。

その他

ここで解説した病気以外にも、高尿酸血症は脂質異常症や糖尿病などさまざまな生活習慣病と関連するといわれています。
その背景の一つとして、尿酸の再吸収が過度に強くなり、尿酸の排泄される量が少なくなって尿酸値が上がることなどが考えられています。
これらの生活習慣病は動脈硬化を招いて心血管疾患につながる可能性があり、高尿酸血症も関連するといわれています。

合併症や自覚症状がなければ大丈夫?

今はまだ痛みや気になる症状がないからといって、尿酸値が高い状態を放置するのはよくありません。
ここで紹介したように、高尿酸血症の影にはさまざまな病気が潜んでいます
尿酸値が高い状態が続くと、ある日突然、痛風発作や尿路結石があらわれる可能性があります。
また、メタボリックシンドローム、高血圧なども合併しやすいといわれています。これらは、動脈硬化を招いて心血管疾患に至るおそれもあります。